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  • 執筆者の写真pastel_carré

白魔女オイルの石けん覚え書き

更新日:2021年9月6日



少し前に、分量を間違えて大量のローズマリーハーブを買ってしまった。お茶として飲んだり、自家製の化粧水やクリームの材料にしたりするけれどもそれでも多すぎる。久々にインフューズドオイルの石けんでも作ってみようか。

近年は、ハーブ浸出オイルの石けんをほとんど作っていない。石けんは原料オイルの組み合わせ方によってその個性が出てくるもので、どんなハーブの浸出オイルを使ってみても、「言われてみればなんとなく肌あたりが柔らかいかな~」という感じで、使用感にほとんど差が出ない。石けんは洗い流すもので、成分が肌に留まりもしない。(ごく僅かな余剰油分を除き)そもそも香りも残らないし、あんまり意味ないかな・・・ということで、徐々に作らなくなっていった。


まあ、でも、たまには植物から出る自然なベージュの石けんもいいかな。人気のマカダミアナッツオイルの石けんにしてみよう。と、オイルにハーブを漬け込み、毎日シェイクして一か月、ハーブを濾して浸出オイルが出来上がった。これが写真左側のオイル。黄金色に色づき、ローズマリーの香りもよく移っている。

そういえば何かで「魔女のオイル」って読んだな。この手順を2回繰り返したものを「白魔女のオイル」と言うのらしい。つまりは化学以前の時代の民間療法だったのだろう。


深夜のテレビだったか、「プラクティカル・マジック」というコメディ映画を見たことがある。内容は全く覚えていないのだけど、現代の設定だが魔女の姉妹が主人公で、確か姉のほうが小さな化粧品店を営んでいる。ハーブの入った瓶などがたくさん並んでいて、この作業用キッチンの様子に心が躍ったことだけをよく覚えている。「子供のころの私の夢ってなんかこんな感じの光景だったよな!」とか。「大きくなったら何になりたい?」という問いにはいつも困ってしまってまともに答えられたことがなかったけれど、もしかしたら魔法使いになりたかったのかもしれない。物心がついた頃のヒットアニメといえば「魔法使いサリー」と「ヒミツのアッコちゃん」だし。鬼ごっこで「オミソ」にされてしまうのろまな私の遊びと言えば、砂場で延々ときれいに丸くて硬い砂団子を作っているとか、草花をすり潰して色水を作っているとか、なんだか今やっていることとほとんど変わらない気がする。


で、黄金色のローズマリー浸出オイル。ローズマリーがまだまだたくさんあるし、もう一回漬け込んでみようか。夏休みなので石けんの仕込みまでまだ時間がある。「若返りのハーブ」と言われるローズマリーってのもなんだか魔女っぽくていいな(笑)


そして一か月が経過し、さらに色濃いローズマリーオイルが出来上がる。せっかくなので、他のオイルをあまり混合しないマカダミアナッツオイル85%のレシピにしよう。このレシピには泡立ちを良くするはちみつが合うと前々から思っているのだけど、赤茶っぽい色の出るはちみつを使うと自由に色付けができなくなってしまうので使いあぐねている。今回はどっちにしろベージュ系にしか仕上がらないので、オプションにはちみつを入れてみよう。茶系のクレイとかを使ってベージュ×ブラウンのマーブル石けんにしよう。

と、計画が整い、いざ作成。

ローズマリーオイルの濃い黄金色とはちみつによる発色で、こっくりとしたブラウンのタネになった。型入れ後にははちみつの発色は落ち着いてくるし、ローズマリーの色も熟成中に退色していくので、そこを踏まえてマーブル部分を着色しなければならない。ガスールなどのグレイ味のある色のほうが最終的には合うかもしれないけど、はちみつの赤みが残る可能性があるのでココアパウダーのほうが無難かもしれない。

石けんのタネは通常クリーム色だが、固まってくると乳白色になるので、通常の色付けでも黄色味を差し引いて色付けする。狙い通りの色を出すのは長年やってきてもやはり難しい。さらにこんな風にほかの発色が重なると、最終的な色の予測はさらに難しくなる。無難にしておいたほうが良い。色味がそろっていればまず間違いがない。

そして、数時間後、型入れの時点では、茶色に濃い茶色のマーブルで、なにがなんだかよくわからない・・・けど、最終的にはコントラストがつくはず・・・・。


2日後に型から出し、さらに3日ほど経ったのがこちらの写真。

実物はもう少し色が暗めだが、あんなに茶色かった地の部分が既に淡いベージュになっている。側面部分のマーブルの赤みはおそらくはちみつの発色なので、徐々に上部のようなコーヒー色になっていくかも。ハーブから出た色はどんどん退色していくので、もっとコントラストが出てくるだろうか。美味しそうな色合いになるといいなあ。


そうそう、香りについて書くのを忘れていた。

通常はインフューズドオイルにアルカリ材を加えた時点で、オイルへ移った香りはほぼ消えてしまうのだが、ローズマリーの香りがよく残っている。大量のハーブを使ってダブル浸出にすると違うものだなあ。それでも熟成するころにはかなり淡くなってくる可能性が高いので精油は必須だろう。

すっきりとした香りが好きで、ローズマリーは最も使用頻度の高い精油。最近あまり作っていないスイートアーモンドオイル75%レシピの石けんに使っていたほんのりスパイシーな香りがこの石けんのイメージに合いそう。

もともとはヤングリヴィングという精油製造社のシーブスというブレンドを真似た香り、とはいってもオリジナルを買ったことは無くて、これを真似て友人が作った香りがとても良かったので、さらに石けんに合うようなブレンドにアレンジしたもの。揮発しやすいレモン精油に替えてグレープフルーツとリツェアクベバを使っている。

今思い出したのだが、その若干スピ系な友人によると「強力な浄化の香り」らしい。YL社によれば、

”15世紀フランス で疫病が流行った時代、クローブやローズマリー等のハーブを体に塗ることで病気をすることなく盗み を働いていた4人の泥棒の記録から再現されています。”

ということで、結果的にタイムリーな香になったよう。

もちろん、この香りで新型コロナの感染を防げるなんてことはあり得ないが、この時期にこの香りを思い起こすっていう、そういう直感は大切にしたいところ。


マカダミアナッツオイルといえば肌の老化防止効果のあるパルミトレイン酸を多く含むオイルなので、石けんよりもむしろオイルをそのまま使いたい。ローズマリーもアンチエイジング効果のあるハーブだし。

精製水や芳香蒸留水とオリーブスクワランオイルを1:1の分量で瓶に入れ、これをシェイクしたものをクリーム代わりに顔にも体にも使っている。スクワランオイルはさらっとして肌なじみも良い。マカダミアナッツオイルだとちょっと重くなるかと思っていたけれど、意外にそうでもない(年齢のせいか?)。スクワランと合わせてしばらく使っているけれど、これが、とっても良い!肌がふっくらと張りが出る感じが明確にわかる。硬くなりがちな手の甲の肌も柔らかくなっている。

石けんの場合は洗い流してしまうので材料を贅沢にすればするほど良いということは無いけれど、マカダミアナッツオイルは、滑るような泡質がとても気持ち良い石けんになる。使った人にしかわからないだろうなあ、泡そのものがスベスベなあの感じ・・・。


というわけで、

white witch soapは10月半ばごろの解禁予定です。

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